本作とキャラメルBoxの「めぐり、ひとひら。」をやってる人ってそんなに多くいなさそうですが、どちらかしかやっておられなくて朱門優氏のシナリオが好きな方は補完をお勧めします。あと当時は書きませんでしたが本作のオマケコーナーでシナリオライターがトンズラしたとか書いてたのは受けました(笑)
※本レビューは過去サイトからの転載です
店頭で購入。
システム
やや重いですが安定。バックログあり。フルボイス。スキップは高速ですね。
BGM
役割は果たしています。しかし悪魔+チャーチオルガンだと女神転生ですな(笑)。
ストーリー
聖女の「神託」により主人公は反逆者の汚名を着せられる。主人公はチッセと名乗る女性の誘いに乗り、聖女への復讐を決意する・・・
プレイしてみて・・・
難し過ぎでしょう、コレは(笑)。バッドエンドへ行く選択肢多すぎ(笑)。とりあえず同じ話を聞きすぎて耳にタコ状態です・・・どうせ解けなかったら攻略サイト探すだけなんだからもうちょっと優しくして下さい。まあそういう意味では骨のあるゲームです。私には骨が折れるゲームでしたが(笑)。
まあしかし内容はかなり奇想天外です。素材自体はオリジナルでは無いんですが、その素材の組み合わせ方が斬新。一体、パッケ裏の文句から如何にしてこのようなストーリーを想像出来るでしょうか!それが一般受けするかどうかは別ですが。とにかくこういう大風呂敷広げた壮大なストーリーは、それだけ穴が空きやすいので、世界観の不整合性を突っつくのが大好きな私としてはOKなのです(笑)。
その辺は後述するとして、まずはシナリオについて。BASTARD!!の影響を受けてるっぽいですね。主人公も覇道を突き進むし。イベントでも天使に囲まれる場面があったりして、共通点がありますよね?サタンの描写も似まくり(笑)。んで、BASTARD!!とこのゲームの違いは、「セフィロトの木」が出てくるところと、天使に関連する名称がほとんど出て来ない所ですか。具体的に挙げるとイブリース、シェムハザ、サタネル、ケルビム、グリゴリ、だけです。設定も原典とはかなり異なっています。ですので、聖書とか悪魔とかに造詣が深い方がプレイされると逆に「勝手に話変えんなよ・・・」とか思ってしまうかもしれません。
個別シナリオについて。
チッセシナリオ。
このゲームの中で一番アツイシナリオです(笑)。主人公に尽くしまくり(と言っても調教は出来ませんが)で、面白すぎです。さらに主人公の行動も凄い。修羅道です(笑)。剣に生き剣に死す。人生とはこれ闘争なり。・・・てな感じなんですよ。黒い英雄ですな。ユーディットに対して「これが貴様の末路だ」、神に対して「神のご高説痛み入るよ。ハハハ」、などの台詞は彼の面目躍如といったところです(笑)。
レアルシナリオ。
脇役ですね(笑)。脇役のクセにこいつをほっとくとバッドエンド確定というのが心ニクイですな(笑)。話自体は短いし、そんなに書くことはありませんな。ただこのシナリオもやっぱり剣に生き剣に死す。人生とはこれ闘争なり。・・・な雰囲気ですね。にしてはややコミカルなんですが。
ベアトリーチェシナリオ。
このシナリオは面白いですよ。彼女絶対頭おかしいですから(笑)。この人も主人公に尽くしまくり(こっちは調教もあり)で、彼女にとって主人公は善も悪も超越した偶像に違いありません(笑)。
ユーディットシナリオ。
と言っても共通シナリオなんですが一応書きます。まあ内容と言えばやっぱり主人公の事を憎からず思っているユーディットがもともと「神託(=主人公を反逆者として裁く)」の事について気負っていて、「何でもするから許して」な調教を楽しむって所ですか。最後は主人公と共に堕落して暴君として地上に君臨します。そしてそれをお膳立てしたのが「全知全能の神」というところにこのゲームのパンキッシュな精神が感じられますね(笑)。この調教で一番面白かったのは犬調教でのユーディットの表情があまりにもやる気なさげな所でしたね(笑)。必見ですよ。
ユーディット隠しシナリオ。
罪を全て清算するシナリオとして機能しています。まあつまり主人公がユーディットへ改悛の情を示し、チッセの誘いを退けるというお話なんですけど、登場人物が悪役を含め皆カッコ良すぎです。特に処刑広場での一幕は他のゲームならクライマックスであろうと言うほどのボルテージの高さ。その後の主人公とユーディットとの対面の場面など感動の涙が溢れ出る展開です(笑)。主人公はいきなり義に篤い人に戻ります(笑)。問題は、その後の展開が共通シナリオと被っているところ。今まで何度もやってきている(難易度が高いから余計に)テキストを読むことになるので、ボルテージが下がりまくり(笑)。その辺は考えて欲しかったです。このシナリオは妙にアツい主人公の側近達がイチオシですよ(笑)。
さてここからはツッコミ文です(笑)。まず「ハプラスティマ教徒」と名乗るチッセに関して(ハプラスティマ教というのは主人公の属する宗教とは対立する教えです)、主人公は序盤チッセがハプラスティマ教徒と思ってるんですが、彼女は六芒星が目立つ服装をしていて、どうみてもハプラスティマ教徒には見えません。あれほどまでに頭の切れる主人公が気付かぬ筈はないんですが・・・
次に「ジェネシス(創世の唱)」について。この唱についてはどうでもいいんですが、「聞こえる人には聞こえる」というような観念論っぽいことを持ち出すのは何故か(笑)。この章の章題も「形而上空間に響く唱」となっていて、意図が不明すぎます。フツウに書けば良かったんじゃ?そもそも空間って定義が出来るなら既にそれは形而下にあるものなんじゃないんですか(だから「聞こえる人には聞こえる」と言ったんでしょうけど)?まあやけに難解な言葉で綴っているのが面白いゲームなんで別にいいんですけどね(笑)。
次に「ダアト(11番目のセフィロト)」の扱いについて。一応ここだけは伏せておきます。
隠しシナリオにおいて、ユーディットは「グノーシスの門」から溢れ出る力に守られているそうです。いや、ちょっと待て。神に敵対するものを神の力が守るってのはおかしいんじゃないですか?セフィロトとは神よりも善なるものなんでしょうか?それはマズいだろ(笑)。
まとめ。
ちょっと苦笑するところもありますが、全体として演出の良さとかが光ってたので、平均点以上はあるんじゃないでしょうか。私自身こういう宗教とか騎士とかの話が好きですしね。
蛇足。
「ユーディーのアトリエ」をプレイした後にこれをやると違和感ありあり(笑)。どうでもいいけどアトリエシリーズの主人公は皆性格が同じですね~(笑)。