其は歴史となり、灰燼となり、無に帰す

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Wind-a breath of my heart-(minori) 旧レビュー

※本レビューは過去サイトからの転載です

これ、新海誠氏の制作のOPムービーだったと思います。新海さんもメジャーになったなあ(笑)

キャラとストーリーに期待感が持てたので衝動買い。ですが・・・
システム
ウチのマシンではちと重いですな。殊にスキップが非常に軽快に動作してくれませんでした。機能としては音声・効果音・BGMのオンオフが可能。バックログ機能あり、と問題なし。セーブ個所は多過ぎなほどあります。フルスクリーンのままOPムービーを迎えると何故か強制終了します。これはウチのマシンだけなのか?この不具合の対策ファイルがあるようです。メーカー無保証ですが。

BGM
普通。POPでキャッチー。音楽とSEと声が重なるとやや不安定。OPムービーの曲は良い感じ。このゲームに対する期待感が膨らみますな。


トーリー
再び帰ってきた街。主人公はそこで1人の少女と再会を果たす。それは奇縁(えにし)か運命か。主人公は彼女の想いを受け入れるのか。それとも・・・様々なところで出会う少女達の交流を通して徐々に明らかになって行く自分の気持ちと、・・・そしてこの街の秘密。貴方はその運命を受け入れることが出来るだろうか・・・

プレイしてみて・・・
難易度は低め。基本的に狙ってる子を追っかけてりゃその子のシナリオへ入ります。攻略する順番が決まっているかどうかは未確認。特定のエンドを見てから再クリアすると追加イベントが発生します。
率直な感想として・・・選択肢少なっ!量的に言えば前半は完全な共通(シナリオに影響しない分岐すら殆どない・・・)シナリオが展開し、そして後半でキャラの個別イベントに派生する選択肢が何個か出て来ます。肩肘はって攻略しなくても楽にクリア出来る・・・これはお話が良けりゃ有効な仕様ですが、さてシナリオの方は・・・・なんですかこりゃ?ヤベェ。このゲームを見て大体の方はノスタルジックでプラトニックな恋愛模様(古い・・・)をご想像されるでしょう。私もそうでした(X指定でプラトニックちゃうやんという突っ込みは置いといて)。・・・まさか刃傷沙汰があるなどとは全くもって知らなかったのです。もしパッケージに刀を持った彩の絵があったら私は絶対買いませんでした。マジで。世界観が破綻してしまっとりますがな。まあ刃傷沙汰が起きるのはシナリオの最後の方なんでそこだけ抜けばまあ・・・雰囲気は良いと思います。しかし物語としてそんな楽しみ方はさせていいものか。
 汎用イベントはあんまり面白くないのでございます。ちゅうかテストのイベントとかは手抜きじゃねぇのか?とさえ思わせてくれます。テキストを使い回さないで下さい。もしそれがフル音声によるものだとしたら本末転倒です。作品の質を上げる為に音声を入れる事には反対しませんが、作品の質を下げてまで音声を入れるのはどうかと思います。まあ致命的な問題が他にあるので音声の有る無しに関わらず文句を言ってたと思いますが。以下はネタばれになるので一応伏せます。

 このゲームの大事な所をおおまかに説明すると、主人公のすむ街には不思議な力が備わっており(正確には街に住む人間)、その力を維持しなければ街は滅ぶ(抽象的な言い回しでんな)。その為、番人である彩が街の人間を次々と街と同化(=死)させる事によってこの街の秩序を千年以上の永きにわたって守り続けてきたのだ。つまり彩は千年以上も殺人に対する苦悩を抱きながら罪を重ねていたのだった・・・。
 とりあえずそのせいで彩の印象が大幅ダウン。キャラで話を生かすしかないこのゲームでは致命的。やっぱり人殺しは愛せないでしょ。しかも(主人公にとって)自分の親を殺した人は。ゲーム中ではやむにやまれぬ殺人という捉え方にはなってますが・・・私には因習に縛られた愚かな殺人にしか思えませんでした。さらに彩シナリオの秋人氏の殺人に関してはやむにやまれぬものでも無いように思えますしね。明らかに自分の感情で殺してますな。っていうか自分の兄(父親)を殺した時に気付けや。永遠に人を殺め続けるよりその時に生贄を出すのを止めた方が仮に村が滅んでも被害人数が少ないって事に。それとも人を殺めずに力を維持する方法でも模索していたんですかな?どっちにしろ彼女はちと独善的です。千年生きててこれじゃあな・・・まあ製作者のいう通り思考が停止していたのかも知れませんが。いずれにしろ不必要な殺人を重ねてきた女性を愛せる主人公の深い愛には感服するしかありません。説得力には欠けますが(おぃ)。
 まあ、もちろん彼女を責める事はシナリオとしてまずいってのは理解できるんですが・・・いかんせん「殺人」は罪が深いでしょう。こんだけ殺せば間違いなく死刑でっせ。彩シナリオだけならともかく、このネタは全てのシナリオで中核をなしてます。よってどのシナリオをプレイしても完膚なきまで世界観を破綻に導いてくれます。勘弁してくれ。

さて、次は個別シナリオについて述べたいと思います。
みなもシナリオ。
幼馴染という設定を生かした小話が良い感じですね。ただみなものアプローチに対して主人公が淡白過ぎるような気がしますな。さっさと自分の気持ちを明確にせいや。頭の回転が速いんちゃうんかい。みなもさんも感情を激しく昂ぶらせて主人公に詰め寄ったにしてはえらく冷静に自分の心情を吐露しているし・・・スゲェ。彩も同様、冷静に自分を振り返ってます。友達を刺してんのに。なんか違和感あります。その後の展開も違和感あり。とってつけたようなって言うか・・・何て言うか・・・時の流れの速さというのを感じますです。はい。以降は伏字で。
自分の中で最も疑問に思うのはやはり彩関連。路面電車での場面では「街の力」はとても重要なもののように捉えられていますが、みなもを助ける時は全く逆なものとして捉えられてますね。しかも彩の思考の中で。この「街の力」というものの価値の低下というのは間違い無く彩の弁護という観点ではカタストロフィ(破局)です。だってそんな大した事の無いものを守る為に千年以上の間人を殺し続けて来たってことになってしまいますから。ただの痴れ者でしょう。物語中でもあんまり役に立たない力、あったら便利っていう程度の力、などと繰り返されていましたよね。力は大したことなくて街も滅ばないとなったら彩のやってることって一体・・・?

次、望&わかばシナリオ。
この姉妹はある時点まで並行して(というよりも共通で)シナリオが進みます。内容としては慈しむ姉妹愛、主人公を巡ってほころびる姉妹愛(わかばシナリオ)、そして主人公によって修復される姉妹愛とベタですが中々の質。特に望が心臓に疾患を持ち、いつ死ぬかわからない、という設定のおかげでより彼女達のパーソナリティが際立っていましたね。以下はネタばれになるので一応伏せます。
私がいいなと感じたのは、この望が重要なシナリオでは望が亡くなり、その他のシナリオでは手術が成功したりして望が助かっている事です。失うことによって逆に愛の深さを表す。いいっすね。このゲーム、他のキャラのシナリオで特定のキャラの伏線を解決する手法が結構多くて、エンディングとかは結構衝撃(良い意味で)を受けます。特にこのわかばシナリオでそれは最高度に発揮されてます。しかし姉妹なら髪の色は似とけよ。
 後一つ。彩と望が闘った後、望が決め台詞を言うんですが、その時の表情がなんと言うか・・・この娘、血を求めてる!?と思ってしまいましたね。ちとイメージダウンです。そもそも何故このゲームに死合があるのかという突っ込みは無し。っていうか突っ込んだらこのゲームのシナリオが意味無くなるがな。

ひなたシナリオ。
彼女の明るいノリがまあ彼女の生命線。主人公との掛け合いはなかなか面白いです。てゆうかぐっすんひなた(未プレイの人には分からんって)。そしてそれに相対する必殺仕○人・彩(笑)。システムのところで書きましたが、このゲームスキップがちと遅いんです。んで、共通イベントが多いんです。んで、攻略する人数分見ないといけないんです。はっきり言って苦痛でござんした。特に海イベント。長過ぎなんです。それに対する海でのキャラ個別イベントがちと少ないんです。Ctrl押しっぱなしでした。4,5回見りゃ飽きますって。やっぱ。

彩シナリオ。
まあ、伏線の全てが「不条理な街の力のしきたり」に係って行きますので、最初は感情移入できねぇ。だって「街が滅ぶんですよ!!」って叫んでも「勝手に決めんな」とか思っちゃいますしね。特に他のキャラのエンディング見た後だと。彩の行動に関してもそこまで頑なに拒まんでも・・・と言うぐらい(人との交わりを)拒みまくってくれます。でも後半は・・・ネタばれになるので一応伏せます。
彩が街を救い、そして贖罪する為に同化体になるまでの最後の3日間を主人公と過ごすんですが、ここは彩本来の人間的優しさが滲み出ていてとっても良かったです。か、可愛いじゃねぇか!ただ風呂場での彩の語りはいらんと思いました。だって理屈っぽいんだもん。しかし、頭で考えた場合やっぱ彩がこういう態度を取るってのは少々ご都合主義じゃないかと。千年人を殺ってきたんですぜ?そんな人間がいきなり普通になるってのはちょっと?です。っていうかよく発狂しなかったな・・・
蛇足だが、気になったところ(まあこのゲームやった人なら誰でも思うだろうけど)。彩の武器は心を切る武器だと言う。つまりこの刀で切られても血は出ないはず。なのに何故かみなもシナリオで秋人さんは血まみれになっている。彩以外にやられた、彩が違う武器を使ったという2つのパターンが考えられるがどっちも不自然です。演出>合理性ということなのだろうか。うーむ。
すいません。もう一つの可能性がありました。それは彩の力である衝撃波です。これは物理的に肉体を斬る力と思われますので秋人氏が血まみれでもその説明が付きます。ただゲーム中に説明はありませんし、彩の力に関してもそのイベントの時点では伏せられています。みなもシナリオからやり始めたら何でやねん。としか思えないですよ。冗談抜きで。いや、それ以前に何で死んでるんですか?と思ってしまいますが・・・
 まあこのゲーム最大の謎はまこちゃん(笑)の腕が斬られた時に何故か彩の力が無効化されていないところでしょう(笑)。
後は紫光院のイベントとかがあるんだろうが今現在プレイする気力なし。ふぅー。メチャ重いし時々強制終了するし・・・まあ一応CGはコンプしましたが・・・・

まとめ。
 「・・・ちょっと不思議な学園ラブストーリー」(パッケ裏抜粋)・・・ちょっと不思議?摩訶不思議か不可思議の間違いじゃないんでしょうか?
蛇足
このゲームやってて思い出したのは「With You」。ここまで完膚なき世界観のカタストロフィがあるゲームはコレだけだと思っていたんですが・・・