※本レビューは過去サイトからの転載です
発売当初から注目はしてましたよ~。 焼きたてクロワッサンよりは面白いと確信してましたから(笑)
システム
基本的なところは完備してますね。音楽鑑賞モード、CGモード、回想モードあり。
主人公以外フルボイス。パッチを当ててないとやや不安定な気がしますね。
一回ゲームが落ちましたし。まあ8時間ぐらい連続でやってましたからね(笑)
BGM
まあ金かかってるのはスタッフ見たら分かるっすから…
文句のつけようはないですね。音楽的な好みってのはあるでしょうけど。
一部戯画の過去の作品の音楽が使われておりましてニヤソと出来ます(笑)
ストーリー
小さな離島の学園寮・つぐみ寮に住む住人達とのふれあいを描いた学園物です。
プレイしてみて…
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ゲームはコマンド選択式のADVなんですが、難易度は低い方だと思います。
基本的に意中のキャラのイベントを消化していけばいいだけなんで。
完全にストーリーを読ませる形ですね。ショコラ時代とは大きな違いです(笑)。
さて、このゲーム、色々と仕掛けがございまして、シナリオ面における仕掛けは後述するとしまして、
システム面におけるそれについて述べてみたいと思います。
タイトル画面からふるってまして、まずタイトル画面はつぐみ寮の前景が表示されているんですが、
時間によって表示が変わります。朝だと朝の日差しがあり、昼間だと昼間のつぐみ寮、
宵以降ですと電灯がついたつぐみ寮、深夜ですと真っ暗なつぐみ寮、と言った具合です。
おまけに人が住んでいる半分だけ電灯がついてたりして、分かってる演出をしてくれます。
あと再現出来ないんですけど、時々音楽が変わります。どういう条件なんだろ?
メインのゲーム画面ではインターフェースにやや使いにくい面があります。
画面下部に”前の選択肢に戻る”や”オートモードに移行する”などのボタンが配置されているんですが、
少し大きさが小さくてボタン同士の位置が近いため、間違えて他のボタンを押してしまい易いです。
まあ”前の選択肢に戻る”と”次の選択肢までスキップ”は確認メッセージが出るので、
そんなに間違えることは無いかと思われますが。
また、フルスクリーンからAlt+Tabなどで他のアプリに移行した後、再びゲームに戻ると、
画面右と下の部分がはみ出した状態でフルスクリーンになります。
修正はあがってないので他のマシンでは再現性がないのか誰も気付いてないのか…?
1回ウィンドウモードにしてまたフルスクリーンに戻せば元に戻りはしますが。
恐らくモニタのアスペクト比が4:3と異なると生じる不具合と思われます。
シナリオについて。
伏線の張り方と使い方が凄い巧みなんですよね。
そして登場人物の行動にほぼおかしいところはありません。
まあそれでも突っ込みどころはあったりするんですが。
個別シナリオについて。 奈緒子シナリオ。
どっちかっていうと奈緒子の心情より主人公・航の心情の方に感情移入しそうですね。
まあ過去の傷からお互いに負い目を感じている二人が歩み寄っていく的なシナリオなんですけど、
奈緒子の負い目の作り方がまずくない?と思うのは私だけでしょうか(笑)?
だって航を自分の想い人の当て馬にするんですもの(笑)
一応「彼女は人の好意について軽く考えている」と語られたりはしてるんで、
その当て馬にする行為自体は奈緒子の行動原理として有り得ないわけではありませんが、
彼女の人格を疑われるかと(笑)。
まあ当て馬にされる前の航と奈緒子のやり取りの描写についてやや少ないので
そう断じることは早計なんですが。たとえば奈緒子が航と海己との関係について
恋人だと誤解していたとすると、当て馬にするのはあるかも…
その辺りはもう少し詳らかに描写すべきだったかな、と思いますね。
最後はかつての想い人を航の当て馬にしようとします。それはどうかと…
しかしこの場面の辺りの奈緒子の行動原理は良く分からないですね。
航との約束をすっぽかしてまで想い人への当て馬説得工作をするんですけど、
そんなことをしたら航が奈緒子のことを疑うのは明白なのに…
もし奈緒子が主人公ならBADENDフラグが立ちそうな程後ろ向きな行動ですな(笑)。
まあ航に対する奈緒子の負い目がそうさせたってことで納得は出来なくはない…かなぁ?
通常イベントとかもその辺りの伏線になってるんでしょうし。
宮穂シナリオ。
宮最高っす(笑)。…と言いたい所なんですが、2点だけ言いたいことがありますね。
えーと、まずは序盤やや宮関連のイベントがやや少ないなぁ…という気がするんですが…
子犬的アクションと言うのは数が多ければそれだけ感情移入度が高まると思うので、
ガンガン突っ込んで欲しかったですねぇ。まあこの辺は無い物ねだりですけど。
2点目としては、宮はその生家の事情(まあ要するに深窓の御令嬢なわけなんですが)で
航との恋仲について自身が島に居られる次の春までと諦めているわけなんですけど、
ちょっと諦めるの早くない?と感じます。
物語中盤泪島でのイベントにおける宮の積極性を考えると少し違和感があるんですけど…
まあ駆け落ちとかは航にとって有り得ない選択というのは海己シナリオやればすぐに
納得出来るんですが、でも六条の両親を説得するって言う選択肢は宮の中では無かったのかなー?
ただそうなってしまうとやや航に主体性が無くなってしまうのとベタな展開になってしまうのは
自明の理なので、それを回避する為にそうしたとも考えられますが…
あと宮がどの辺りで航とのことを諦めたかということも気になりますね。
学園に来た時からだったらそれはヤバいですよね(笑)。一夏限りのアバンチュール(古っ?
とは言え宮がそんな裏表のある性格をしているとは到底思えませんけどね。
不満点はそのぐらいですかね。
航の好きな子には意地悪したくなるんだストーリーは読んでて面白かったですよ(笑)。
静シナリオ。
静最高っす(笑)。…と、最高なのが二つという矛盾をかますほどいい感じなわけなんですけど、
しかしやはり静はその年齢にしては幼すぎませんか?無邪気過ぎるというか…
思春期がまだ来てない感じです。あーでも月の物は来てるようですが(笑)。
というか19xx年生まれだし(笑)。年齢不詳ですね(笑)。
その辺の不自然さに目をつぶれば、正直のめり込んじゃいますね。
サイコーですかー?サイコーでーす!(←ヤバネタ)
シナリオ終盤の静を親元へ帰そうと説得する辺りは、何と言うか皆いい感じです。
静の保護者として信頼していた航の背信への沙衣里の怒りと悲しみとか、
航の幼馴染として気遣いと理解を示す海己とのやり取りとか、
静への説得に際して風邪で倒れた航を看病する奈緒子の優しさとか…このゲームの真骨頂ですね。
と言うか、奈緒子なんか奈緒子シナリオ以上に彼女が魅力的に思えてしまいますね。
まあ後気になった所と言えば、静が寮暮らしをしているのは両親の放任主義によるものなんですが、
航が静に親元へ戻る事を説得した時には”いい親”になってたということらしいのですが、
その事は航からの伝聞と言う形のみで提示されているので、
”いい親”になったかどうかの印象があまり得られないんですよね。
イベントシーンとして提示した方がより航の”親元へ帰すべきか否か”の葛藤を
ユーザーが実感出来るかなぁ…という辺りがちょこっと気になりましたかね。
まあ無くても静シナリオは良い出来だと思いますけどね。
沙衣里シナリオ。
年上で教師なのに一生徒である航にハマっていくさえちゃんは最高っす(笑)。
3度目の最高です(笑)細かいところを見ていくと若干微妙な所も無きにしもあらずなんですけど、
まあ細かいところは気にせずさえちゃんのダメっぷりを愛でましょう(笑)。
BGMで”SAE-Chan's Staccato”と曲タイトルにさえちゃんの名前が冠せられているというのも、
スタッフの愛を感じます(笑)
さてこのシナリオ一番印象に残っているのはやはり最後のイベント、
沙衣里が航の危機を救う一幕ですね。ツボを押えた展開はシナリオを書いた人に
サムズアップをしたくなる気持ちにさせてくれます(笑)
このゲーム中、1、2を争うお気に入りキャラクターですね~。
シナリオの中身について殆ど語っていませんが(笑)、
このシナリオレビューについては太字の部分だけ読んで頂ければ(笑)
凛奈シナリオ。
色々なものに裏切られ絶望し、差し伸べられる手をはねのけてひたすら孤独になろうとする凛奈を
自分達の仲間の輪に入れようと奮闘する航たちですが、
手紙攻勢が若干微妙な雰囲気を漂わせるものの(笑)、序盤ヤマ場のマラソン大会はいい感じですね。
特に競技中航が途中で倒れた時に、大会スタッフの静とさえちゃんに凛奈が「航が倒れた」っぽい事を
言うんですが、その時に静が「おまえのせいだ…」と凛奈に言い放つシーンはかなりグッと来ましたね。
やはり静は最高っす(もうええって)。
中盤~後半は海己に弱気な心情を吐露したり航に好意を伝えたりする辺りの
凛奈の素直さはいいですね~。とは言えあんまりデレではないので類型的なツンデレではないです。
その辺りいい感じです(笑)。ただ凛奈さんはちょっとバイオレンス過ぎると思うんですけど、
どうでしょう(笑)?
海己シナリオ。
本文中に「名前と裏腹に日陰がやたら似合う女の子」と評されるんですけど、
本当に地味なキャラですね(笑)。まあでもシナリオの局所的破壊力は抜群だと思います。
つぐみ寮の面々に航と海己との交際を認めてもらう為航が説得に奔走する場面は、
やはり奈緒子シナリオ以上に奈緒子が魅力的に思えますし(笑)、他の面々の反応もそれぞれいい感じです。
シナリオ終盤の高見塚祭もやってくれてます。
後夜祭のあのCGとか見た瞬間にサムズアップですよね(笑)。
ただ夏の時点までは二人の仲は付かず離れず全然進展しませんので、
全体としてちょっと平坦な印象がありますね。その辺りはちょっと残念。
おまけシナリオ。
つぐみ寮卒寮の日及びその後についてのお話ですね。エンディングテーマ「さよならのかわりに」を
合唱するんですけど、ちゃんと涙声で歌ってくれるんですよ。
これはびっくりしましたね。まあ声優さんとしてはちょっと歌いにくく且つ恥ずかしかったでしょうけど(笑)。
その後についてですが、
全員を攻略した時点で上記のおまけシナリオがプレイ出来るようになるんですけど、
そのシナリオをした上でさらにゲーム本編で誰のフラグも立てずに最終日を迎えると
この隠しシナリオに入れる…と思われます。
さてこのシナリオでは伏線を完全に消化しきってくれます。
凛奈シナリオにおいて謎のままであった航の過去の出来事について明らかにされるんですけど、
ホント、伏線の使い方が上手すぎですね。このシナリオまでプレイして初めて
この青空に約束を-の本質を理解することが出来るんではないかと(言い過ぎ)。
まとめ。
個人的な作品ランクとして、傑作>名作>佳作・良作>凡作>地雷
というランク付けをしてるんですけど、傑作に限りなく近い名作という評価ですね。
間違いなくオススメですよ。
蛇足。
起動直後のOPムービーで凛奈のピアスを付けてる耳が時々逆になるんですが…
ちゃんと作って下さいよ…
06/6/20更新